連載SS第四十一話
「隊長!前方に障害物発見!回避しますっ!!」
広い庭を全速力で走りながらスバルは探検ごっこに夢中になっていた。
「びゅぅううん!」
両手を水平に伸ばしスバルは庭の所々にある大きな岩を避けとても楽しそうに笑っている。
そうして母屋の裏側へと繋がる細道を見つけキラリと瞳を輝かせた――
「隊長!秘密基地発見!!これより中に潜入いたしますっ!」
どうやらスバルには別の風景が見えているらしい……凄い子だ。
「行っくよー相棒!ウィングロードっ!!」
スバルのスニーカーがぎゅんっと加速する主のスピードにより地面に土埃を立てるっ!
そして一気に駆け抜け奥へ奥へと細道を突き進んだ―――――
「よっし、これで最後だね」
その頃、中庭の奥にて洗濯物を干していたなのはが大きなシーツをばさっと払い物干し竿にかけようと広げたその瞬間―――
「わっ!?」
「へっ!?」
ぼすっと大きな音を立ててシーツに何かが突っ込んできた……
そして―――
どさっ。
「――あいって~」
「っう~」
飛び込んできたその何かを咄嗟に受け止めたなのははお尻を地面につけたままモゾモゾと動くシーツを呆然と眺めていた。
「ぷはっ!は~死ぬかと思ったぁ」
シーツの中から出てきた子とばちっと目が合ってしまった……
「…えっと…大丈、夫…?」
「ぇ?あ、はいっ!大丈夫ですっ!!」
それから、じいっと私の目を見つめてきたその子の瞳はとても澄んだ色をしていた。
「…空、みたい……」
「ふぇ?」
「///あ、あのっ!お名前教えてくれませんか!」
「私の、名前…?」
こくこく頷くその子。その必死な感じの物言いに少しだけ笑ってしまった。
「なのはだよ…高町、なのは」
「なのは、さん///」
どこか、ぽ~っとしてるその子に苦笑しながら私は口を開いた。
「…それで、貴女のお名前は何て言うのかな?」
「ぁ…は、はいっ!スバルですっ!!宜しくお願いします!!」
何故か敬礼ポーズを取りながら言ってくるスバルに思わず破顔してしまった。
「スバル…いい名前だね。」
「///あ、ありがとうございますっ」
びしっと正座をするスバルの膝こぞうが目に入る。
「あ~擦り剥いちゃってるね…膝」
「え?あ、ほんとだ!」
「ちょっと待っててね?救急箱持ってくるから」
「え?へ、平気ですよっ!このくらい舐めとけば―」
「だーめ。バイキンが入ったらどうするの?凄く腫れて痛い思いするんだよ?」
私がそう言うとスバルは、ぅっと表情を引きつらせて首をぶんぶんと振った。
「それじゃ大人しくそこで待ってるんだよ?」
「は、はい!」
私は救急箱を取ってくると近くにあった水道でスバルの傷口を綺麗に洗い消毒すると薬を染み込ませた大きな綿ガーゼを傷口にあてがってテーピングした。
「痛くない?大丈夫?」
「少し痛いけど…大丈夫です!」
「ふふっ、スバルは元気だね」
「はいっ!よく言われますっ!!」
何故か自身満々というか胸をはるスバルが素直で可愛いなって思った。
「それで、スバルはどうやってここに来たのかな?」
「えっと、面白そうだなって思って…やっぱりマズかったです…よね?」
「ふっ、ふふふっ、あははっ」
「え?え?なのはさん?」
スバルの答えに思わず笑ってしまった私を見てスバルはキョトンとしてる…
えへへって笑い返してくれるスバルに続いて来客者が次々に増える事をまだ私は知らなかった―――
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