連載SS第四十話
「ティアー!こっちこっち!!」
大きく手を振って楽しそうな笑顔をティアナへと向けるスバル
「すっごく綺麗な鯉!いっぱいだよっ!!」
「ぁーはいはい。」
池の鯉を見つめながら瞳を輝かせるスバルを見て少々呆れ気味のティアナ…
それでも隣に並んで一緒に鯉を見つめるあたり面倒見は良さそうだ。
「すみませんフェイトさん///妹はその…まだ子供なんです///」
そんな二人の様子を少し離れた所から見つめながらギンガとフェイトは穏やかに微笑み会話をしていた。
「ティアー!」
「―っさい!」
ふしゃー!っと威嚇する猫にもめげずキャンキャン纏わりつく子犬のようなスバル…傍から見るとまるで喧嘩してるみたいに見えるのだが……
「スバルとティアナって仲、良いんだね」
「ふふ、それはもう妬けちゃうくらい仲良しなんです」
ギンガは楽しそうに笑って小さい頃のスバルとティアナの話をしてくれた。
「御来客中、申し訳ありません…フェイト様…」
そう、背後から声をかけられフェイトが振り返ると黒いスーツをびしっと着込んだ家の者が深々と頭を下げていた。
「ごめんギンガ…少しだけいいかな?」
フェイトはギンガに断りをいれると伝言を聞く為に少し離れた場所でその内容を聞いた。
「そう…分かった。すぐに行きますって伝えておいて」
伝言を伝え終わった家の者が下がるとフェイトはギンガの元へ
「ごめんねギンガ…少しの間、席を外すけど…大丈夫かな?」
フェイトの困ったような笑顔を見てギンガはすぐに察する事が出来た休日を一緒に過ごしていた父も同じ表情を見せる事が多かったからだ
「大丈夫ですよフェイトさん。私達はここで待っていますから」
「そう…ごめんね…助かるよ」
フェイトは申し訳なさそうな顔を見せ母屋の方へと歩いてゆく。その後ろ姿にそっと手を振りギンガは愛しそうに瞳を細めた。
「ったく、スバルあんた、はしゃぎすぎ―って居ないし!?」
さっきまで一緒に鯉を見ていたはずのスバルが居ない……
「スバルっ!どこ行ったのよ!?って、えぇ―――!!!」
俊足スバルちゃんはいつの間にやら遥か遠くの方へと走り去っていました…
「ちょっとスバルっ!勝手に行くんじゃないわよっ!!」
慌てて追いかけるティアナ。
そして、その慌てた声を聞いて振り返るギンガ…
「ぇ!?ちょ、ちょっとティアナースバルー待ちなさーい!」
着物を着ているギンガは控えめにしか走れない為どんどん距離があいてゆく。
突然、始まった追いかけっこ。
一等はスバルで間違いないが…この後思いもかけぬ出会いが待っていた事に、まだ気づいてはいなかった――
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