連載SS第三十話
「……ごめん……」
フェイトは、俯いてしまったなのはの頭をそっと、撫でた。
「…ごめんね…なのは…」
「……して…フェイトちゃんが謝るの……」
「なの」
フェイトが言葉を紡ぐ前になのはが俯かせていた顔をあげた―その瞳は今にも泣き出しそうにも見えるのに…強い光が宿っていて
「悪いのは私の方だよ?部屋に居ないで…フェイトちゃんに探しに来させてっ!なのに…どうして謝るの!?私は――」
「―なのはっ!」
フェイトはそれ以上言わなくていいとばかりにぎゅっと強くなのはを抱き寄せた。
「もう、いいんだ…もういい。」
「良く、ないよ…私、フェイトちゃんの事―――」
「もう良いって言ってるんだ!」
フェイトの怒鳴りつけるような荒々しい声になのははビクッとなる
ハッとしてなのはの事を見つめるフェイト…
その瞳はとても悲しそうで…なのはの胸がズキリと、痛んだ……
「あ…ご、ごめん…でも約束、破ったのは私…だから…なのはは何も悪くなんてないんだ…」
「……フェイトちゃんは優し、すぎるよ」
思えば小さな頃からフェイトちゃんは優しく諭すばかりで…本気で叱ってくれた事なんて無かった気がする……
「……ごめん…」
「…私、フェイトちゃんに謝らせてばかりだね…」
「なのは……」
それっきり黙りこんでしまうなのはを見てフェイトもまた、言葉を失った。
…なのはを一人にしてしまう事はきっとこれから先もあるはずだから…ギンガはまた遊びに来ると言っていた…そうなればきっとまた―――
フェイトはグッと強く拳を握ってその中で爪をたてた…不甲斐無い自分への戒めとして強く強く握り込む。
「…困らせ、ちゃったね…ごめんね?フェイトちゃん」
フェイトがその声に顔をあげるといつものように微笑むなのはと目が合った―
「なの、は」
フェイトの緊張が緩やかに解けてゆく…なのはの笑顔、それだけで嬉しくなった。
「あの、なのは…もう、怒ってない…?」
「にゃはは。やだなぁフェイトちゃん私、最初っから怒ってなんて無いよ?」
そう言ってフェイトの背中を押すようにしてなのはが帰ろう?と言い出しフェイトは戸惑いながらも、う、うん///と嬉しそうに返事をした。
…怒って、ないよ…ただ、悲しくなっただけ……だから………
だから、なのはの表情がその後で泣きそうなほどに歪められた事をフェイトは気付かない…気付くはずもない―――
| 固定リンク

最近のコメント