フェイトと不思議な館のなのは達01
私、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは夏休みを利用して親友アリサ・バニングスから聞かされた、とある地域の古い言い伝えのレポート(宿題)をまとめるべく現地へと調査に出かけた―
「暑……」
容赦なく太陽が照りつける夏の炎天下の最中、私はひたすら歩き続けていた。
「そろそろ着くはず…なんだけど……」
地図ではその言い伝えがあったとされる村までは一本道が記されている…けれど歩いても歩いても変わるのは周りの景色ばかりで村なんて全く見えてこない……
「はぁっ、はぁ、っ」
歩き慣れていない山道…だんだんと森が深くなり、その内白く濃い霧が広がり始めた……
「どうしよう…暗くなってきちゃったな……」
こんな所で遭難?なんて冗談じゃない…第一、食料も水も寝袋さえ持ってきていないのに…
あぉーん。
遠くの方で狼のような野生動物の遠吠えが聞こえてきて私は辺りを警戒しながら歩いた。
どこか泊まれる場所……は…
用心のため森で拾った木刀くらいの大きさの棒きれを持ちキョロキョロと辺りを警戒しながら暗い夜の森を彷徨い歩く…
がしゃん。
「っつ」
濃い霧で分からなかった…私の体が何か硬い物にぶつかって軽い音を立てた………
何だろう?
暗闇の中で目をこらす…するとこれが何か鉄のようなもので出来た古い門のような柵だという事が分かった。
きぃい~
私がぶつかった弾みでその鉄柵は錆付いた音を立てながら内側へと開いてゆく…
「ここなら野犬も来ない…よね…」
私は鉄柵の中へと入ると危険な夜行性の動物から身を守るべくその門をしっかりと閉じた。
ふぅ、これで良し。っと…
私がそのまま先へ先へと進んでゆくと古い大きな洋館が立っていた―
う、わ…
大きな葉っぱのついたツタで覆われたレンガ造りのその館は幽霊でも出そうな雰囲気…
「えと、お邪魔、します…」
それでも野宿するよりは大分マシだろうと私は玄関のドアノブをゆっくりと回した。
かちゃ。
鍵すらかかってなかったその扉はすんなりと開いた―――
「誰か…居ません…か…?」
おそるおそる声をかけながら明かりのついていない玄関ホールを見回す…その時、階段の上の方でカタンという音がした…
「だ、誰っ」
私が驚いて上を見上げると、ぽぅと柔らかなランプの明かりを持った女の子がくすくす笑いながらゆっくりと階段を下りてくる。
「にゃははっお姉さんどうしたの?迷子?」
「あ…ご、ごめんね…勝手に中に入ったりして…えと、君はここの家の人かな?」
「うん。そうだよ」
「そ、そっか…えと、森で迷っちゃったんだけど帰り道知ってるなら教えて―むぐ」
しぃ~っ。
私の唇の前に立てられているのは女の子の人差し指だった……
「今夜はもう遅いし…夜の森は暗くて危ないよ?だから、ねっ泊まっていって?」
にこにことしながら言う女の子の綺麗な蒼い瞳が細められて―私はじっと見つめ返したまま…うん、と頷いてしまった――
「こっちだよっ来て?」
「う、うん」
とても嬉しそうな笑顔を見せる女の子…その子に手を引かれ―私は屋敷の奥へ奥へと進んでいった―――
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